【vol.71】決して王道な人物を描くわけではない。 だが、だからこそ大戦の’裏’が見えてくる。『ヘウレーカ』。

-古本屋ATrACT-漫画図鑑vol.71

ヘウレーカ

作者:岩明均
巻数:全1巻
発表年:2001~2002
掲載:ヤングアニマル増刊Arashi
出版:白泉社

紀元前3世紀後半、共和政ローマ時代のシチリア島の中心都市シラクサが舞台。スパルタ人のダミッポスは故郷の政治的混乱から逃れシラクサに流れ着く。そこでローマ人だがこの上なくシラクサを愛する女性、クラウディアと出会う。しかし、時はローマ対カルタゴの第二次ポエニ戦争の真っ只中であり、シラクサは非常に重大な選択に迫られていた。シラクサが親ローマ派と親カルタゴ派で分裂する中、カルタゴのハンニバルの下に亡命していた反ローマ最強硬派のエピキュデス将軍が帰還し、クーデターにより親ローマ派の排除に成功、ローマとの長年の同盟を破棄し、カルタゴ陣営に加わった。
市内のローマ人がつぎつぎと連行されていく中、クラウディアとダミッポスは何とかローマ派の重鎮である学者アルキメデスの下で保護を受けることになる。
同盟を破棄されたローマはシラクサに大軍を差し向ける。しかしそこには天才アルキメデスの作った強力な防御兵器があった。

 

紀元前二百余年。ローマ対カルタゴの壮大な歴史ロマン。

決して王道な人物を描くわけではない。

だが、だからこそ登場人物みんな人間臭い。

市民を描くからこそ大戦の’裏’が見えてくる。

歴史好きは必読。

総評:76%
オススメ度:★★★★☆