【vol.10】つまらない毎日の生活をおもしろがること。星野源『そして生活はつづく』

-古本屋ATrACT-書籍図鑑vol.10

そして生活はつづく

星野源、初のエッセイ集

音楽に舞台に、様々な方面で活動をし続けもはや何者かよく分からない凄い人・星野源。
そんな彼の、あんまり凄くない一面がこれでもかというほど語られた初のエッセイ集。

 

つまらない毎日の生活をおもしろがる

「つまらない毎日の生活をおもしろがること」。
それがこのエッセイのテーマだという。
駄目な自分を何とか面白がろうとする星野源の語りが面白過ぎた。

私のお気に入りは、『料金支払いはつづく』と『口内炎はつづく』のエピソード。
ゆるゆるな源さんの語り口がクセになってしまうが、その中でたまにすごく良いことを言うから困ったものである。「自分探しの旅」より「自分なくしの旅」をしたい、というお話に目から鱗。

 

おもしろがるには努力がいる

「「なにげない日常の中に素晴らしいものがある」どや顔でそんなことを言う人は苦手です。」
そう星野源はあとがきで綴った。
「何気ない日常」の中には「何気ない日常」しかなく、もちろん面白くもない。
でも、その中から面白さを見出していくことが、面白い。
もちろんそれには多くの努力と根性がいる。
星野源は、この本であまりにもさらっと面白いことを語っているが、その裏には物凄い努力が隠れていそうだ。

ただただ生活をしているだけでは、つまらない。
必死に生活を面白くしようと努力をすることが、何よりも大切だということを教えてくれた一冊でした。

総評:94%
オススメ度:★★★★★

作品データ
タイトル:そして生活はつづく
作者:星野源
発表年:2009,2013
出版:文藝春秋