【vol.12】嘘をつき通すことは、周りを欺き続けることは、容易ではない。『青の炎』

-古本屋ATrACT-小説図鑑vol.12

青の炎

作者:貴志祐介
発表年:2002
出版:KADOKAWA

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを…。

愛する人のための完全犯罪。

青春をなげうった高校生の孤独な戦い。

丹念すぎる心理描写に胸が詰まる。

嘘をつき通すことは、周りを欺き続けることは、容易ではない。

少年の葛藤に心が痛くなる青春小説。

総評:72%

オススメ度:★★★★☆