【vol.9】すべてが愛おしくなる物語。『世界から猫が消えたなら』

-古本屋ATrACT-小説図鑑vol.9

世界から猫が消えたなら

作者:川村元気
発表年:2012
出版:小学館

郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、奇妙な取引を持ちかけてくる。
「この世界からひとつ何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得ることができる」
僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計……そして、猫。
僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。

「でも今はわかる」。

当たり前すぎて気が付かないことが多すぎた。

全てが愛おしくなる。

「世界に何かが存在する理由はあっても、失われる理由なんて、全く無いんだということを」。

総評:62%

オススメ度:★★★★☆