【vol.5】本当に神がいるのなら、立ち向かいたいだけ。死後の青春物語『Angel Beats!』

-ATrACTシネマ-アニメ図鑑vol.5

Angel Beats!

──神への復讐、その最前線。

森に囲まれた丘陵地にある天上学園は、生徒総数2000名を超える全寮制の学校。
一見するとごく普通の生徒らが生活を送っている学園だが、そこは死後の世界だった。

現世で理不尽な人生を体験し、青春時代をまともに送れずに死んだ者はこの世界に送られる。
あらかじめ用意されたエキストラ(NPC)の生徒たちと共に学園で楽しい青春時代を過ごすうちに未練をなくし、消滅(成仏)し、転生する。

しかし、転生することを拒む人々がいた。少女・ゆりをリーダーとする「死んだ世界戦線」だ。
彼女らは、理不尽な人生を強いた神への復讐を目的とし、「死ぬ」ことのない世界で、学校の秩序を守る「天使」と日夜戦いを繰り広げていた。

生前の記憶を失った少年・音無は、「死んだ世界戦線」のメンバーと行動を共にするが、次第にこの世界の、そして「天使」の秘める真実を知ることとなる。

 

愛すべき「死んでたまるか戦線」の面々

なんかめちゃめちゃシリアスな物語っぽい紹介を上で書いてしまったが、実はこのアニメ、だいぶギャグ寄りである。

個性の主張が激しする「死んでたまるか戦線」の面々が、学園を所狭しと大暴れ。
あ、「死んだ世界戦線」とか「死んでたまるか戦線」とか、しっくりくる「~~戦線」が見つからないそうで、戦線の名前はコロコロ変わるようです。

舞台が死後の世界なのでもうこれ以上死ぬことはない
ということで、どれだけぶっ飛ばされようが、切り刻まれようが、踏みつぶされようが、突き落とされようが、、、それらは全てギャグで済んでしまう。恐ろしい舞台設定である。絶対そんな世界には行きたくない。

そんな彼ら「走馬燈戦線」が繰り広げるドタバタ劇に笑い転げることは間違いない。

そして彼らの宿敵「天使」が可愛い。以上。

 

理不尽な過去と向き合う時

非常に騒がしくてすっかり忘れてしまうのだが、この世界に送られてくるのは
理不尽な人生を過ごし、青春をまともに送れないままに死した者だ。
死後の世界で大騒ぎを繰り広げる彼ら「勝手にやってろ戦線」のメンバーだが、彼らとてその例外ではない。
そのギャップも、この物語に深みを持たせている要因の一つだろう。

次第に明かされていくメンバーたちの生前の記憶。
記憶喪失でこの世界に来た主人公・音無の過去が明かされてから、物語は急転する。

 

生きることは、素晴らしいんだって。

この物語の底に流れるテーマは、生と死。そして、人生

「俺たちの生きてきた人生は本物だ」
「ありのままの残酷で無比な、たった一度の人生を受け入れるしかない」

ところどころで、理不尽な人生に対する想いが語られていく。

あなたが信じてきたことを、私にも信じさせて

どんな理不尽だろうと、それが自分の人生だ。
それを受け入れ、前に進むしかない。
エンジェルビーツの主人公たちは、死んでからそのことに気が付くが、

なんと幸福なことに、私たちは生きている

なら、生きるしかないよね。命をくれて、本当にありがとう。

総評:88%
オススメ度:★★★★★

作品データ
タイトル:Angel Beats!
監督:岸誠二
脚本:麻枝准
アニメーション制作:P.A.WORKS
話数:全13話
発表年:2010