どうしても、「今」の’宮井駿’にインタビューしたいと思った。
伝説のロックバンド’Can’t Be Spring’。2017年、若者を中心に絶大な支持を集めたこのバンドは突如として解散。悲しみに明け暮れる我々の耳に飛び込んできたのは、しかし、解散の絶望を遙かに凌駕する希望であった。
‘Can’t Be Spring’ギター・’宮井駿’のソロデビュー。バンドから弾き語りへ。彼はギター一本でこの世界に挑む決意を表明したのだ。
去る8/27、その偉大なる第一歩として催されたレコ発記念ライブ。彼は、今までにないほど輝いていた。
そして、レコ発イベントが一段落した9月某日、東京都内某所-秘密結社ATrACT-アジトで行われたこの貴重なインタビューは、やはり予想した通りとても重要な意味を持つものとなった。
1st singleの発表やレコ発ライブは、’宮井駿’の新しい物語の始まりに過ぎなかった、ということがこのインタビューを読んでもらえれば伝わると思う。バンドとしての活動とは全く違うアイデアに挑戦することで、もっと自由な、もっと強いミュージシャンへと。大きく変化を遂げている真っ最中の彼を読み取ってもらえると思う。
これ以上ないほど最高の内容だったレコ発ライブのライブレポートも含めて、たっぷりと「今」の’宮井駿’を感じ取ってください。
─────────────────取材・総編集長:吉野シンゴ
祈願のレコ発を果たした「今」。レコ発記念ライブを振り返る。
──今夏、待望のファーストシングル発売。おめでとうございます。
宮井駿「ありがとうございます!」
──レコ発イベントもされたそうですね。
宮井「はい、豪華アーティストを呼ばせてもらって」
──実は私も観に行きましたよ。
宮井「いやー、ありがとうございます。ほんとうれしい。」
──レコ発イベントでのライブで思ったんですけど、あの日、もちろんCDを買わせていただいて、帰って直ぐにCDも聴いたのですが。CD音源よりもライブの生音の方が良いなって思ったんですよ。何かライブで心掛けている事はありますか?
宮井「そういってもらえると嬉しいですね。ライブで心掛けている事、ね。先ほど、ライブの方が良いって言ってくれたんですけど、実は僕はCDの音源に忠実に演奏しようと心掛けているんですよね。ミスチルの桜井さんは、ライブでは少し音を外したりするのが味だったり、何かちょっとライブならではの表現があるんだろうけど、俺はまだそういう時期ではないというか、CD通りに歌っていくのが今は意識している事ですね。」
──まずは基本に忠実にということですね。レコ発ライブはどうでしたか。
宮井「本当に一言。楽しかった。4月の終わりくらいに、とあるイベンターさんから会場を一日借りてレコ発イベントをやらないかというお誘いをいただいて、目標をそれに合わせて今までやってきたので、感慨深かったです。お客さんもいっぱい来てくださって、CDも売れたので良かったですね。」
──では、春からココにむけて突っ走っていたと。
宮井「息を切らしてさ。」
──駆け抜けた道は振り返らない?
宮井「いや、今回は徹底的に振り返りましょう(笑)」
レコーディングにライブ感を。’宮井駿’が拘るワンアクセント。
──CDを聴いて思ったのですが、例えば『曜日感覚を忘れた猫』のBメロ「ぶら下げたペンダントの色も」の部分。「色も?」なんて、こんな跳ねてたっけなって。
宮井「あぁ、それは逆に、CDレコーディングをするときはライブ感を出したかったというか。CDに残るということで、ちょっと印象に残るフレーズをつくりたかったというか。ワンポイントで歌い方を変えるだけでもキュンとくるフレーズになるってアドバイスをいただいたので」
──そういえば、『いちごをたべたあとで』も。
宮井「跳ねてますねぇ(笑)」
日常を忘れてほしい。’宮井駿’の代名詞『曜日感覚を忘れた猫』とは何者なのか。
──『曜日感覚を忘れた猫』はどういった経緯で。
宮井「2月ごろに下北沢Regでのライブに出演した時に、そこのマスターに「キャッチフレーズのある曲を作った方が良いよ」というアドバイスを貰いまして。そのアドバイスがあったからできた曲ですね。まぁその前から少しは案があったけどね。」
──『曜日感覚を忘れた猫』は、タイトルからはとても抽象的な、掴みどころのない印象を受けるのですが?
宮井「非日常を音楽で届けたい、という想いが根底にあるんですよね。それが、曜日感覚を忘れる、という意味にも繋がると思う。から、そういう思いが詰まったタイトルですね。猫、は特に意味ないです。」
──猫、意味ないの!?
宮井「まぁ意味ないとしとこう」
──はぁ(笑)
宮井「僕はずっと音楽は日常的なものだと思っていたけど、実は非日常的なものだったんです。音楽によって、非日常を味わってほしい。良い意味で日常を忘れてほしいんです。」
──なんかちょっとカッコ良い感じになっちゃいましたけど。前々回のライブ拝見した時に「冬休みとか春休みで曜日感覚が無くなっちゃってこの曲ができました」とかMCしてた記憶があるんだけど。その辺はどうなんですか。
宮井「あのね、俺、てきとーだから(笑)今は「非日常」ってことで。二ヶ月三か月後になったらなんで曜日感覚を忘れたのかまた忘れてるよ(笑)」
──おい!じゃあ今時点では「非日常を届ける」という意味で。
宮井「そう!」
恋の酸いも甘いも。自薦名バラード『いちごをたべたあとで』のすべて。
──では、続きまして、今作は両A面シングルということで。もう一曲『いちごをたべたあとで』についてもお伺いします。こちらはストレートなラブソングですね。
宮井「はい。この曲も『曜日感覚を忘れた猫』と同じ時期ですね。2月ごろに対バンした女の子が凄く良いと言ってくれて…」
──あ、その時にはもうできていたんですね。
宮井「あぁ、そうそう。初めてか2回目くらいに披露した時にね。なんかさあ、ラブソングを歌ってさ、それが女の子に評価されるってさ、凄く自信になったんですよね、その時は。だからなんというか、独りよがりなラブソングじゃないんだなって思えてね。それで、自分の中でイチオシしていった曲ですね」
──駿さんの中でこの曲の評価が上がっていったわけですね。
宮井「うんうん。で、『曜日感覚を忘れた猫』とは対照的にバラードちっくでザ・弾き語りな曲だからCDに収録するならこの対極的な曲だなって決めていました。」
──なるほど。で、この曲はどうやってできたんですか?「2人でよく行く喫茶店」?え?誰かとよく行かれるんですか?
宮井「(笑)あのねえ、だから、本音な部分と建前な部分がありまして。」
──なるほど、妄想が入る部分もあるわけですね。
宮井「(笑)まあ、歌詞自体にめっちゃ深い意味は無いのかもしれないよ。響きとか直感を大事にしておりますので。」
──それが「いちご」だったと。なぜ「いちご」?響きか。
宮井「いやー、極論ね。俺が音楽を通して伝えたいのは「頑張れ」か「君が好き」の2つしかないんですよ。だからこそ、「頑張れ」とか「君が好き」とかを直接言っちゃうと、つくる曲がもうなくなっちゃう。だからあえてなるべく遠回しに…ってのがありますね。『いちごをたべたあとで』では特に甘酸っぱいってことを表現したかったから。それで「いちご」を持ってきましたね。
──甘酸っぱいの象徴ですね。
宮井「はい。恋の酸いも甘いも、です」
──「最強の組合わせだと思う/恋とはいちごときみのことだ」。このフレーズが最高に好きです。
宮井「ありがとうございます」
──いちごをたべたあとで会いに行く人はいるんですか?
宮井「……いるでしょう」
──おぉ!?ではここからはオフレコで…(笑)根掘り葉掘り聞いていきますね。
伝説のロックバンド’Can’t Be Spring’解散…からのソロ活動へ。アーティスト・’宮井駿’のルーツに迫る。
──音楽を志そうと思ったきっかけはなんですか?
宮井「きっかけはねぇ。すごく色々あるんですけど。元々、音楽が大好きで。スピッツやミスチルをずーっと聴いていたんですよね。で、高校に入って軽音楽部に入ってギターを始めました。最初にコピーしたのはスピッツ。『ロビンソン』イントロのリフが弾きたくてギターを始めたんですよ。」
──スピッツ『ロビンソン』が原点なんですね。
宮井「はい、そうなんだよ!ミスチルはねぇ…
※ミスチルについてはコチラで熱く語りつくしました。※【近日公開予定】
宮井「で、やっぱり自分の曲をつくりたいと思って。そうなるとやっぱりライブハウスに出てって形になるので。これが大学2年の時。そのとき一緒にバンドやろうぜって仲間と結成したのが’Can’t Be Spring’でした。」
──伝説のロックバンド’Can’t Be Spring’。良いバンドでしたね。そのバンドを解散してのソロ活動でしたが…
宮井「いずれバンドをしたいですね。でも。」
表現の幅を広げたい。’宮井駿’の見据えるビジョンとは。
──これからの展望は?
宮井「正直なトコロ、いまはレコ発をやり尽くして賢者タイム気味だったんですよ(笑)でもこのインタビュー受けてたらやる気になったわ」
──それは光栄ですね。
宮井「弾き語りとしては、表現の幅を広げたいってのが一番。例えばコード・伴奏がないトリッキーな曲、指弾きな曲とか。あとは’崎山蒼志’くんみたいなカッティングを使った曲をつくってみたいですね。そういうギターの使い方、表現の幅を広げていきたいですね」
──なるほど、文字どおり「音を楽しむ」わけですね。
宮井「そう!あとはバンドを組みたい!ミスチル・スピッツが目標ですよ!」
──それは壮大な目標ですね!応援しています!!本日はありがとうございました。
宮井「ありがとうございました!」
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